第9話
マクロスシティ
宇宙難民船に偽装した連邦の秘密輸送艦アイダホからコンテナが三つ、大気圏に突入してきた。それは、連邦軍の秘密兵器、「D型兵器」というシークレットコードで呼ばれるものであった。

海上にに着水したコンテナを回収したのは、統合軍の空母プロメテウス。大量の航空機動兵器、バルキリーを、マクロスシティに移送中であった。

連邦軍も統合軍も共に地球の軍隊でしたが、連邦軍が厳密に言えばアメリカとか日本とかの国家単位の集合体であるのに対し、統合軍は超国家的な地球規模の軍隊でしたが連邦軍と統合軍は現在合同で作戦行動を取ることは稀だが、月の勢力がギガノスと名乗り、独立国家を形成し、地球に戦いを挑んできたので、今ではお互いが協力し合っているのでした・・・。

「軍曹、今までお世話になりました!ケーン・ワカバ三等空士、これにて除隊させていただきます!」
「同じくタップ・オセアノ三等空士」
「ライト・ニューマン三等空士、大変お世話になりました!」

「ムウ・・・お前達がいなくなると寂しくなる。お前達は偶然D型兵器に登録させられちまったが、地球までの移送にはお前達の力あってのものだった。俺はお前達を誇りに思ってるよ」

「なんだかいつもの軍曹じゃないみたいだな。ま、でも軍本部にはドラグナーの登録を解除するコンピューターがあるんだし、これで俺達は軍人をやめるんだから、マクロスシティでお別れパーティーでもやりましょうよ」

「そうだな、ひよっこども・・・もうすぐマクロスシティーに入港だ。そこではちょうどマクロスの進宙式が始まる予定だし、あちこち盛り上がってるだろう。パーッといこうじゃないか!」

「さすが軍曹!そうこなくっちゃ!」

「もちろんリンダちゃんやローズたちも呼んで」
「おお〜いいですなー」
ケーンやタップは喜んで賛成した。



「ヨォ、ベン軍曹!久しぶりじゃないか!」

「いやぁ、フォッカー少佐、お久しぶりであります!」

「二年ぶりだったかな?お、そいつらは?」

「こいつらが例のD型兵器のパイロットですよ。ようやくコンピューターの登録が抹消されて除隊できるってんで、サヨナラパーティーというわけでして」

「ああ?せっかく軍人になったのにやめるだとぉ?」

「はいっ!俺達・・・いや、自分たちは、偶然ドラグナーに登録されてしまったのでありまして・・・」
「まぁいい、まぁいい、おーい、輝!ちょっとこい」
「なんですか、先輩?」
「こいつは一条輝。アクロバット時代からの後輩でな、なかなかの腕前だ。こいつもいずれは軍隊に入れようと思ってる」
「ええ!?先輩、冗談じゃないですよ、俺軍隊なんて・・・」
「馬鹿!戦闘機に一度乗っちまったらお前のプロペラ機なんぞはなぁ・・・」

「ジェットに改造したんスよ」

「んなこたァどうだっていい!お前も一度乗ってみりゃわかるさ、民間機と戦闘機は全く違うんだ。アマチュアの大会で少しばかり優勝したからっていい気になるんじゃない。なぁ、ワカバ三等空士?」

「そーですそーです!なんてったって軍の最新式のメカはすごいですよ」
「俺達みたいな素人が乗っても大活躍しちゃうぐらいだもんな」とタップがいった。
「まぁ、軍隊なんかごめんだってのは同意だけどな」ライトは肩をすくめた。

「やれやれ、なんて奴らだ・・・」軍曹は溜息をついた。
「一回乗って見りゃ分かる。よし、輝、ついてこい。特別に乗せてやる」
「えー先オパイ、いいんですか、そんなことして」
「つべこべ言わずについてこい!」

フォッカーに強引に引き連れられて輝はいってしまった。入れ違いに料理が出てきた。
「まぁ、美味しそう!」リンダが喜び、ケーン達も食事に夢中になった。

「ここの中華料理屋、料理も最高だが見ろよ、あの女の子、すごいカワイイぜ?」
ライトが指さすと、髪の長い女の子が料理を持ってきた。店で働いているリン・ミンメイという少女らしい。

「おれはローズの方が可愛いな」タップはそういい、ケーンも「俺だってリンダちゃんの方が・・・」といった。 



「式典開始まであと15分・・・。」
「早瀬中尉、グローバル艦長が会場にお見えです」
「バルキリー隊の授受、デストロイド隊の配備、宇宙軌道上のアームド1,2との合体、それからD型兵器の移送・・といろいろ気苦労が絶えないわね、艦長も」と言ったのは黒人のクローディアだった。実はフォッカーの恋人である。

早瀬美沙は士官学校を首席で卒業したメインオペレーターで、このマクロスに着任した。

「早瀬中尉、月機動上のアームド1から入電。月面からギガノスのマスドライバー発射との警報が!」シャミーが連絡を取り次いだ。
「急いで艦長を呼び戻して!」

「な、なによこれ!」
「どうしたのクローディア?」
「見てよこれ、修復前のシステムが急に動き出して・・・大変、発射態勢にはいった!?」

マクロスの主砲が、急遽発射態勢に入り出した。全システムをカットしても、それはとまらなかった!

「何が起こったのだ・・・あ痛!」とブリッジの入り口に頭をぶつけたグローバル艦長が記念式典をすっぽかして戻ってきた。

「主砲が、作動します!!!」早瀬美沙中尉が悲鳴を上げた。
その瞬間マクロスの艦首から主砲が発射された。目標は月から発射されたマスドライバーの巨大岩石。主砲が岩石を砕くとマクロスの制御は戻った。
「マクロスの主砲はマスドライバーの岩石以下、月機動上のギガノス勢力を大破・・・さらに後続の敵勢力多数接近中!」早瀬美沙は暗号電文を読み上げた。
「マクロスの自動防御システムが働いただと・・・ギガノスめ、仕掛けてくるつもりだな」グローバルはそういいながらパイプを加えようとするとシャミーがすかさず「艦長!ブリッジは禁煙です!」と注意した。
「ええぃ、わかっておる、加えただけだ!全巻第一級銭湯配置!」

すぐに月機動上では宇宙空母アームド1、2とギガノスとの戦闘が始まった。


第10話
奇襲
南アタリア島のマクロスシティ付近は、マクロスの主砲発射によって非常態勢がしかれ、住民はシェルターにひなんをかいしした。

「お、おい、ここもやばいんじゃねーのか!?」ケーン。
「俺達も逃げるとしましょう」ライト。

「馬鹿もーん!敵襲に対して我々軍人が逃げてどうするんだ!」ベン・ルーニー軍曹のかみなりが飛んだ。

「だ、だってよ、俺達は登録抹消して除隊するんだから・・・」タップ。

「つべこべ言うな!大体おまえらの登録抹消は済んでおらん!今はまだ軍人だ!」

「お、おい、軍曹の言うとおりだぜ。俺達が戦わなきゃ、リンダ達は誰が守るんだってばよ。いくぜ、タップ、ライト!」とケーンは飛び出していった。

しかしその時爆風と共に周囲が吹っ飛んだ。あっという間に街ががれきにうずまる。それは、月のマスドライバーの第二射が南アタリア島付近に命中したのであった。

「うわーーー!」

三人は物陰にふせて爆風をやり過ごすと、「くそ、無茶苦茶やりやがるぜギガノスの奴!」「マクロスがやられたのか!?」「い・・・いや、大丈夫みたいだ。しかしこのままじゃあ・・・おい、みろ、空から何かふって来やがるぜ!?」と空を見上げた。それはギガノス軍のメタルアーマーの奇襲部隊で、バイク型のガンドーラと水上タイプのゲルドーラがパラシュートで落下してくるのだった。マクロス上からは迎撃が始まったが、なにしろマスドライバーが直撃して、地上にあったものはめちゃくちゃになっているし、停泊中のマクロスもかなりの衝撃だったので、すでに空中にいるバルキリーだけが戦力だった。

「おっし、プロメテウスに戻るぜ!」ケーンが言い、どこからか軍曹が軍用車を持ってきたのでそれに乗って湾岸に停泊しているプロメテウスに急いだのでした。



プロメテウスはマスドライバーの起こした津波で斜めになっており、滑走路が使えなくてバルキリーの発着はほぼ不可能な状態だったので、どんどん敵のメタルアーマーが攻撃を仕掛けてきた。なんとかバトロイド形態に変形したバルキリーも、まだ人型になれていないパイロットではまともに迎撃も出来ないのでした。

「ちぇ、あいつらつい最近まで飛行機のパイロットだったからとまどってやがるな」
「それじゃあ俺達がお手本を見せてやりますか」
「よし、ドラグナー隊発進するぜ!クララちゃん、緊急発進頼むよぉ!」
[ラジャー、いつでも発進可能です。ですが、もう少し清潔な状態で籐丈願います。精密機械にゴミが・・・]
「あとで掃除してやるからさ、クララちゃん」
爆風やがれきの粉塵でほこりだらけなので、ドラグナーのコンピューターが文句を言っているのだった・・・。

「まて、今甲板は使用不可能なんだぞ!」と管制官が怒鳴ったが、「平気平気、このドラグナーならちょっとぐらい斜めでも平気さ」といって全然言うことを聴かなかった。

「こちらフォッカーだ。管制官、構わんから発進させてやれ!秘密兵器の力を見せてもらおうじゃないか」

「さっすが、フォッカー少佐。よし、ケーン・ワカバ発進します!フォッカー少佐、地上に来た奴らは俺達が片付けます。空の敵はお願いしますよ!」

「まかしとけぇ。おーい輝、ついてこれてるか?」

「先輩、ひどいなぁ、なんで僕がバルキリーに乗って戦わなきゃならないんですか?」

「つべこべ言うな。今のところ上空にいる俺とお前の機のほかは手一杯だ。お前ほどの腕前ならやれるはずだって」

「はぁ・・・」

フォッカーのVF−1Sと輝のVT−1はMAの降下部隊めがけて攻撃を開始した。



ドラグナー部隊は水際でゲルドーラを迎撃したが、水上パーツを破壊しても上半身がドーラという飛行MAとしてレールキャノンで砲撃してくる。

だが、ドラグナー3型がミサイルをジャミングして、2型が援護して、1型が突撃という戦法で、次々とMAを撃墜していったのです!

「ほほう、やるじゃないかあいつら・・・」
「センパーイ、負けてますね」
「馬鹿野郎!俺なんか、統合戦争で180機も撃墜したわい!」
「人殺し〜」
「しょうがねぇだろ、それが商売なんだからよ!オラ、敵さんだぜ、やられるんじゃねぇぞ輝」
「了解!」
二機のバルキリーはドラグナーが取り逃したドーラを掃討していく。フォッカーは自分で言うだけのことはあって輝が出る幕もなく、ガンガン敵をやっつけるので輝はついていくだけで精一杯だ。



「空間上のアームド02から入電。ギガノス軍の攻撃によりアームド01は大破!アームド02も現在小破!敵部隊は紫色のメタルアーマーファルゲン率いるメタルアーマー隊の模様」
早瀬美沙が通信を読み上げると、グローバル艦長が「ギガノスの蒼き鷹か・・・」と叫んだ。
それはギガノス宇宙軍のエースといわれるマイヨ・プラート大尉率いる部隊であった。

「駄目です、アームド02から通信が途絶えました!」

「ムゥ・・・。全滅・・・か・・・。これで月軌道上は完全にギガノスの支配下に置かれたな・・・」

「統合軍本部から入電。ギガノス月面基地からマスドライバー射出の前兆あり。注意されたしとのことです!」
「・・・クローディア君、反応炉の調子は?」
「いうことなし!いつでも発進できますわ」
「よし、マクロス全艦浮上開始!」
「浮上十秒前、9,8,7,6,5,4,3,2,1,0」
「発進!」

ついにマクロスは垂直に浮上していった!しかしすぐに重力制御システムが故障して落下してしまった。

「いやいや、酷い艦だなぁ・・・」グローバルが嘆いた。
「宇宙からの拾いものの艦ですから当たり前です」
「昔地球に攻めてきた宇宙人のものを撃墜したんでしたっけ?」
「まぁそういうことになっとるが・・・詳細は軍事機密だよ」

「スカルリーダーからガンサイトワンへ!敵の空戦隊は撃退したこれより地上部隊の掃討にうつる!」その時フォッカーから通信が入った。
地上にはバイク型のガンドーラが相当数降下していたのでした。


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