今日は正月である。
人々は神社などに繰り出して、初詣を楽しんでいた・・・。
宇宙世紀になってすでに久しいが、人々は正月になると地球の大地に帰っていく。それはスペースシャトルの帰省ラッシュと呼ばれて宇宙港がいっぱいになる程だった。
「さぁ、エントリーはこちらですよ!」
「セシリー、僕は君の優勝にお年玉を全額かけたんだぞ!」
「賭の対象になるなら、こんなの着ないわ!」
「ばっかじゃないの!なんでアタシがこんな服を着てステージに上がらなきゃいけないわけ!?」
「でもアスカ、学校からエントリーされちゃってるんだからしょうがないよ・・・」
2箇所同時に同じような言い争いがあったので、お互い振り返った。
「大体お正月フェスティバル巫女衣装美女コンテストなんて、考えた奴ばっかじゃないの!?」
そう、ここではお正月の人出を利用して、各学校の代表の選りすぐりの美少女が集められ、それに巫女のカッコウをさせて楽しむコンテストが開かれていた、。
「だって、優勝賞品は結構すごいよ。なんと、新型のガンダムがあたるんだって。すごいよね」
「だからアンタは馬鹿シンジって呼ばれるのよ!そんなものもらってどうしろっての!」
「・・・ご、ごめんよ」
「まぁまぁ、そっちの男の子も悪気があった訳じゃないみたいだし・・・」とセシリーが割って入った。「それにこっちのシーブックもそうだけど、男ってそういうものに憧れるのよ。巨大ロボットに乗りたいなんて、ホントに子供っぽいわねぇ・・・」
「俺はガンダムなんかどうでもいいさ。ただ、賭のことがあって・・」
「まぁ、嘘ばっかり。ガンダムって聞いたときのあなたって、目がキラキラしていたわ」
「巨大ロボットが子供っぽくて悪かったわね・・・」アスカはぶつぶつとつぶやいた。
「え?何かいった?」
「なんでもないわ!行きましょ、馬鹿シンジ!」
「う、うん・・・。あ、すみません、それじゃあ」
アスカとシンジはステージの楽屋の方に去っていった。見ると、あちこちに巫女のかっこうした少女達が集まっている。
「さぁ、セシリー、君もエントリーを済ませてくれ」
「しょうがない人。わかりました。じゃああきらめていってくるわ。もうこんなカッコウに着替えちゃってるんだし、しょうがないわ・・・・・・」
とセシリーは会場の方に行った。
「あれ、なんだぁ、カミーユさんも来てたの?」
「ジュドーじゃないか。お前もここへ来てたのか」
「こいつらが祭りを見たいっていうもんでつれてきたんだよ。カミーユさんは?」
「うん、ファとフォウがコンテストに出てるんでね」
「ええ!?巫女のかっこうをして!?」
「そうなんだ。ファは今看護学校の生徒だし、フォウは研究所から救い出して普通の学校に通っている。どっちも学校推薦でね」
「へー。じゃあロザミィさんは?」
「ロザミィは年齢や学年がわからないからなぁ・・・・学校にいってないんだよ」
「なるほどね。じゃあお前達もエントリーしてやればよかったな」
とジュドーはつれてきたプル、プルツー、リィナに言った。
「おにいちゃん、コンテストには高校生以上しか出れないのよ」
リィナは言った。
「アンタ馬鹿ぁ!?なんで今更アタシが出場取り消しなの!?セキニンシャ出てきなさいよ」
「で、ですが、出場資格は高校生以上で・・・14歳の方は出れない決まりなんですよ」
「ふん、アタシはもう大学卒業してるのよ。日本の学校には暇つぶしにいってるだけだわ!今回も大学枠からの推薦なのに!」
「いや、規則は規則でして・・・」
「もういいわ!帰りましょうシンジ!なによ、こんなコンテストブッ潰れてしまえばいいんだわ!」
「う、うん、わかったよ・・・」とアスカのいいなりについていくシンジ。
「さあ、今年の新春フェスティバル巫女コンテストのグランプリの発表です!」
しーん・・・
「優勝は!」
ズガーーーン!!!!
そこに何故か巨大なMSが落下してきた。連邦軍の護衛用MSだ。
「うわっ!?」
建物が崩れてバラバラと瓦礫が落下してくる!
「なんだと、このご時世に敵だって!?」
シーブックは本能的に上空を見上げた。すると、空中から異形の怪物が飛び回り、連邦のMSを片っ端から撃墜しているのが見える。
「やってしまえギャオ!ガルラ!」
いつのまにかステージにいた司会者の男が、怪しい衣装を纏っており、そのまわりにはこれまた怪しい兵士達がわらわらと現れていた。
「わしはこの国の正統なる支配者、邪魔大王国の将軍イキマじゃ。この度、我が邪魔大王国女王ヒミカ様のおめいじにより、銅鐸に祈りを捧げる巫女を集めに参ったぞ!」
と邪魔大王国のイキマはマイクで宣言した。しかし、大騒ぎの中人々は逃げまとっており、誰も話を聞いてはいなかったが。
すると、上空から巨大な幻魔要塞ヤマタノオロチが降下してきた。
「おおイキマ、お前にしてはなかなかの首尾ではないか」
「さぁ。ぐずぐずせずに巫女達を引っ捕らえよ」
邪魔大王国の三幹部のアマソ、ミマシがヤマタノオロチから出てきて雑魚兵士に命じた。
「くそぅ、なんなんだよお前達は!!」
シーブックがセシリーを助けに入ろうとしたが、兵士達がわらわらとシーブックを取り囲んだ。
「シーブック、危ない!」セシリーがそれを見て叫んだが「ええい、貴様は巫女としてヒミカ様のお祈りの生け贄になるのじゃ!」と化け物のような外見のミマシに連れ去られていった。